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社団法人日本自動車機械器具工業会

平成30年度事業報告

平成30年度事業報告

Ⅰ 概 況

1 経済概況等

最近の我が国の景気動向については、雇用・所得環境の改善が続く中、「このところ、輸出や生産の一部に弱さが見られるが、緩やかに回復している。」状況にあります。

景気の回復基調は、2012年12月から74カ月以上続いており、戦後最長の景気拡大と言われていますが、最近、弱さが見られる状況になっています。

先行きにつきましても、当面、一部に弱さがのこるものの、各種政策の効果もあり緩やかな回復基調となることが期待されているところです。

また、中小企業の業況は、一部業種に一服感が見られるものの、基調としては緩やかに改善している状況にあります。

しかしながら、過去の景気拡大期に比べると成長率が低く景気回復の実感に乏しいとともに、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。

 

自動車関係につきましては、2018年度の新車販売台数が525万台を超え、3年連続の500万台越えとなりました。また、自動車保有台数も昨年12月末現在 8,219万台を超え7年4カ月連続で増加しているとともに、乗用車の買い替え期間が長期化する傾向にあることから、こうした動きが自動車整備需要を喚起していくことにつながっていくよう期待しているところであります。

一方、自動車産業を取り巻く環境は、100年に一度の大変革期を迎えてえるといわれており、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)を中心とした次世代技術の重要性が高まっているなか、自動車部品分野だけではなく自動車機械器具及び整備技術分野においても大きな変化をもたらしております。

また、多くの業界で問題となっている人材不足につきましては、自動車関係の生産現場や、整備の現場においても同様に大きな問題となっています。

 

このような大きな環境変化のなか、自動車の整備機器メーカーの集まりである我が工業会においては、自動車の安心・安全の追及を重要課題とし、会員企業における意見交換や各種情報の収集・提供を積極的に行っていことが必要であると考えております。

近年、自動車の電子化が急速に進展している中、適切な点検・整備を行うために必要となる外部故障診断装置(スキャンツール)の機能向上を図るため国土交通省が主催する「自動車整備技術の高度化検討会」に当工業会の専門家を派遣するとともに、同じく、同省が主催する「車載式故障診断装置(OBD)を活用した自動車検査手法のあり方検討会」にも当工業会の専門家を派遣し、積極的な意見・提案を行いました。

人材不足や生産性向上につきましては、今後、会員各位が人材不足を解消するために必要な女性、高齢者、障害者、外国人労働者を積極的に採用するための仕組みや、生産性向上を図るためIOTやAIを活用した機器の開発・導入を検討する場合の参考とするため、これらの対策を積極的に実施し成功を収めている企業(特に中小企業)からの講演や視察を実施してまいりました。

当工業会会員各社は、クルマの安心・安全と環境を支えるサービスツールメーカとして、単にユーザーニーズに応えた新製品開発に止まらず、ユーザーの深層心理的欲求インサイトを見つけ出し、整備機器にイノベーションを起こすと共に、安全の質のレベルアップに努力し、将来の整備を意識した整備機器製造に取り組んでまいります。

 

2 会員の増強

平成30年度は、加入・脱退の変動がなく、正会員44社、賛助会員8社 計52社体制での運営となりました。

 

Ⅱ 事業活動の概要

1 主要会議等の開催状況

平成30年度においては、通常総会及び理事会を概要以下の通り開催しました。

(1) 通常総会

通常総会は、平成30年5月29日(火)アイビーホール青学会館において開催され以下の決議事項について審議、決定しました。

第1号議案 平成29年年度事業報告(案)及び収支決算(案)の承認について

第2号議案 平成30年度事業計画(案)及び収支予算(案)の承認について

第3号議案 役員全員の任期満了に伴う選任(案)の承認について

第4号議案 その他

 

(2) 理事会

平成30年度においては、以下の理事会を開催し、各事項について審議又報告を行いました。

  • 第1回理事会 平成30年4月26日(木)機械振興会館

第1号議案 平成29年度事業報告(案)及び収支決算(案)の承認について

第2号議案 平成30年度事業計画(案)及び収支予算(案)の承認について

第3号議案 役員全員の任期満了に伴う選任(案)について

第4号議案 ①平成30年度通常総会について

②永年勤続優良従業員表彰推薦状況

③その他

 

  • 第2回理事会 平成30年5月29日(火)アイビーホール青学会館

第1号議案 平成30年度通常総会上程議案について

第2号議案 永年勤続優良従業員被表彰者について

第3号議案 その他

 

  • 臨時理事会  平成30年5月29日(火)アイビーホール青学会館

議案    理事長、副理事長2名、専務理事の選定(案)について

 

  • 第3回理事会 平成30年7月30日(月)機械振興会館

第1号議案 平成30年度事業実施計画(案)について

第2号議案 その他

 

(3)  監事監査

① 平成29年度の決算をとりまとめ、平成30年4月23日(月)に監事監査を行いました。

② 平成30年度上期(4~9月)の中間決算を取りまとめ、12月10日(月)に監事監査を行いました。その後、各理事に対して報告書を送付しました。

 

2 講演会、セミナー等の開催状況

会員企業の経営、技術等に関する知識の習得、情報の収集・提供の機会となり得るよう、次のとおり講演会、技術研究会、セミナー等を開催し、意見交換を行いました。

  • 講演会、セミナー
    • 「自動車排出微粒子の計測技術の動向と粒子計測装置の紹介」、

「光の減衰と産卵を利用するレーザースモークメーターの紹介」について、(株)司測研社長 大司 毅氏等による講演会を開催し、意見交換を行いました。(総務委員会主催)

(平成30年7月30日、(一財)産業人材研修センター、18名参加)

  • 「スキャンツールの現状と将来」について、(株)デンソー カスタマーサービス部 診断機器開発室次長 藤原一也氏によるセミナーを開催し、意見交換を行いました。。(総務委員会、技術委員会共催)(平成31年2月26日、(一財)産業人材研修センター、23名参加)

 

  • 「自動車産業を巡る状況と対応の方向性」について、経済産業省製造産業局自動車課 課長補佐 高橋一幸氏による講演会を開催し、意見交換を行いました。(総務委員会主催)

(平成31年3月15日、(一財)産業人材研修センター、24名参加)

 

  • 現地講演会、技術研究会
    • 「モノづくりが語るものがたり」について、京都機械工具(株)社長宇城邦英氏による講演会を開催し、意見交換を行うとともに、KTCものづくり技術館や工場施設の視察を行いました。(総務委員会主催)(平成30年11月2日、京都機械工具(株)、19名参加)

 

  • 「武州工業(株)のIOT化」について、武州工業(株)社長 林 英夫氏による講演会(技術研究会)を開催し、意見交換を行うとともに、工場施設の視察を行いました。(技術委員会主催)

(平成30年11月22日、武州工業(株)、15名参加)

 

  •  PLクレームに関するセミナー

「海外での製造物責任と近年のクレーム動向、米国での訴訟の流れ、同事例等」について、損害保険ジャパン日本興亜(株)法人保険金サービス課特命課長 藤枝東人氏によるセミナーを開催し、意見交換を行くとともに、PL保険の加入促進を呼びかけました。(総務委員会主催)

(平成31年2月6日、損害保険ジャパン日本興亜(株)日本橋ビル、14名参加)

 

3 分科会活動状況

(1)故障診断分科会

① 近年、自動車産業においては、自動車の安全や環境性能の向上を図る観点から、電子制御による新技術の利用が急速に進んでいます。

国土交通省は、これらの新技術に応じた適切な点検・整備を行うために必要となる事項の検討を行うため、関係業界の専門家等による「自動車整備技術の高度化検討会」を設置し、積極的な議論を行っています。当工業会からは、技術委員会故障診断分科会会長が参加しており、高度化検討会の重要な事項である「(スキャンツールの)新たな標準仕様推進WG」の議長として積極的な意見交換、提案を行いました。

高度化検討会の「新たな標準仕様推進WG」は月1回程度開催されましたが、当工業会の故障診断分科会もこれに併せて10回開催し、高度化検討会での検討内容の報告や、新たな問題点の検討等活発な活動を行いました。

その結果、スキャンツールの機能向上を図るための新たな標準仕様や情報提供ルールの詳細について一定の方向性が作成されました。

 

② 一方、自動ブレーキ等の自動車運転技術の進化・普及が急速に進展している中で、これらが故障した場合には誤作動による重大事故等につながる恐れがあることから、自動車の検査(車検)において、これら電子装置の機能確認を行う必要が生じている。

このため、国土交通省においては、高度化検討会と同様、関係業界の専門家等による「車載式故障診断装置を活用した自動車検査手法のあり方検討会」を設置し、車検手法の見直しを検討しています。

当工業会からは、高度化検討会と同様、故障診断分科会会長が参加し、積極的な意見・提案を行いました。

その結果、車検手法の見直しを含む「道路運送車両法の一部を改正する法律案」が平成31年3月8日に閣議決定されました。

 

③ また、平成31年2月26日には、上記故障診断分科会の活動状況及びスキャンツールの現状について、会員向けのセミナーを開催しました。

他方、当工業会では標準仕様の汎用スキャンツールの開発に必要なカーメーカー及び重量車メーカーの情報を各スキャンツールメーカー等からの問い合わせ等に対応・提供していくため、カーメーカー及び重量車メーカー12社から委託を受けて「外部故障診断装置開発情報」を提供する等の窓口機能を引き続き実施しました。

 

(2)門型洗車機分科会

① 平成29年度からビューテーの武井委員が分科会長に就任されていましたが、所属会社の都合により後任の尾身信之氏が分科会委員に、また、エムケー精工の内山委員の後任に同社の小池雅彦氏が分科会委員となることが報告されました。

更に、分科会長には、平成30年度の残存期間として、ビューテー(株)の尾身委員に就任頂くこととし、委員会にて了承されました。

② セルフ洗車機の安全対策や事故処理対応、顧客サービス向上の観点から、洗車機関連設備での水質対策について、注意喚起に努めることとしました。

 

(3)工具分科会、タイヤ整備分科会

ホイール・ボルト破損等による大型自動車の車輪脱落事故の発生件数が近年増加傾向にあることを踏まえて、国土交通省が平成30年11月28日に開催した平成30年第1回「大型車の車輪脱落防止対策に係る連絡会」に出席し、意見交換を行いました。

また、自動車点検整備推進協議会の一員として、工具機器分科会及びタイヤ整備分科会メンバーへ以下のポスター、チラシを配布し安全啓蒙周知活動に引き続き協力しました。

ポスター:「大型車の車輪脱落は許さない」

チラシ  :「火災・車輪脱落・車体腐食防止のために しっかり点検・整備しましょう」

 

4 各種調査等の実施

業界の実態や状況の推移を把握するため、会員を対象に以下の調査を実施し、結果を取りまとめHP及び業界紙等を通じて公表した。

  • 生産実績調査

機種別に生産額を調査するもので、毎年4月に前年度分を実施しているもので平成30年度は、前年度比○%増で約○○億円の規模。機種別では、工具、洗浄機、油圧機器,試験機器及び携行式ジャッキ等の順となっている。

 

  • 輸出動向調査

機種別・市場別に輸出額を調査するもので毎年6月に前年度分につき実施。平成29年度は、前年度と比較し782百万円増の61億円(対前年度比14.7%増)となっています。

増加額の内訳をみますと、中国を除くアジア向けが315百万円増、中国向けが261百万円増、北米向けが174百万円増となっており、この3地域で全体の96%を占めています。

市場別に輸出額の構成比をみますと、中国を除くアジア向けが53.5%、中国向け19.4%、北米向け15.9%となっており、この3地域で全体の88.8%を占めています。

また、機種別の構成比は、工具が大半を占め(62.8%)、次いで油圧機器(20.4%)、電気機器(4.2%)、車検機器(4.2%)となっています。

 

(3) 企業動向調査

主要経営指標の現状及び見込みを調査するもので、毎年4月に当該年度分を実施し、その結果を総会時の資料に添付するなどして公表している。

令和元年度調査時には、前年度調査に引き続きトピックス項目として「賃金改善の状況」並びに採用状況が厳しくなってきていることを受けて「雇用環境」について取りまとめたところ。

 

(4) 企業実態調査

会員企業の資本金、従業員数、生産額の実態を把握するもので、隔年の1月1日現在について調査を実施。正会員44社のうち中小企業は38社となっています。

 

5.海外情報の収集、取得、提供

(1) 海外視察団の派遣

アフターマーケットに係る海外市場動向等を把握するため、平成30年9月10日(月)から9月16日(日)までの日程で、ドイツ フランクフルトに視察団を派遣し、14名が参加しました。

フランクフルトでは、世界最大規模の自動車アフターマーケット見本市である「アウトメカニカ フランクフルト2018」を視察するとともに、ボッシュのフォイエルバッハ工場にて、ドイツ政府が推進する製造業のデジタル化・コンピュータ化を目標とした国家戦略的プロジェクトである 「インダストリー4.0」の視察を行いました。

また、シュトゥットガルトにあるポルシェ博物館やミュンヘンにあるBMW本社工場の視察を行いました。

こうした結果を、参加団員の協力を得て海外視察レポートとして取りまとめ、平成30年11月下旬に会員企業に送付・配布しました。

 

(2) 輸出実績調査

工業会会員の平成29年度自動車機械器具の輸出実績を調査し、販売事業者団体である(一社)日本自動車機械工具協会が同会員を対象に行った輸出調査の結果と併せて集計し、業界の統計データとして作成・公表しました(平成30年8月)。

その輸出額は、前年度と比較し8億円増の96億円(対前年度比9.1%増)となっています。

増加額の内訳をみますと、中国向けが5億円増と大きく増加し、北米向けも1億円増となっています。

市場別に輸出額の構成比をみますと、中国を除くアジア向けが50.5%、中国向け20.9%、北米向け14.8%となっており、この3地域で全体の86.2%を占めています。

機種別では、工具46.1%、次いで油圧機器14.7%、車検機器6.5%、電気機器3.3%となっています。

 

6.広報活動の推進・情報提供

(1) ニュース便覧を通じた情報提供

自動車関連の「特許出願公開目次(抜粋)」情報や関係業界動向、経済市場動向に係る関連事項を選定・要約した「ニュース便覧」を編集し、年10回(1月、8月を除く。)HP上に公開するとともに、関係団体の図書施設にも配布するなど情報提供活動を行いました。

 

(2) 報道機関への情報提供活動

当工業会の業界活動に関して、随時、業界紙及び専門雑誌等の報道機関、出版社への情報提供に努めるとともに、更なる浸透を図っていくため、理事長インタビューの機会等を活用して理事長メッセージの発信強化に努めました。

また、故障診断分科会長からは、マスコミからのインタビューに応じる形で自動車の整備技術の高度化に不可欠となっている先進安全技術対応の汎用スキャンツールの開発状況等について説明を行いました。

 

(3) ホームページ等による情報提供

工業会の組織、会員、事業報告及び決算状況に関する情報のほか、生産、輸出との諸統計、調査結果を公開しました。また、工業会が係わったイベント等についても適宜トッピクスとして報告するなどHP上において情報提供に心掛けました。

 

(4) 大型車車輪脱落防止のための日頃の点検・整備の重要性についての周知(再掲)

自動車点検整備推進協議会の一員として、工具機器分科会及びタイヤ整備分科会メンバーへ以下のポスター、チラシを配布し安全啓蒙周知活動に引き続き協力しました。

ポスター:「大型車の車輪脱落は許さない」

チラシ  :「火災・車輪脱落・車体腐食防止のために しっかり点検・整備しましょう」

 

(5) 工業会商標「JAMTA」マークの活用

工業会の認知度の一層の向上及び工業会会員であることの企業イメージアップを目指して、工業会の商標登録である「JAMTA」マークの積極的活用のため、関連印刷物及び名刺広告を通じて業界紙にマークの掲載を行いました。

 

7.その他の事業

(1) 新年賀詞交歓会

平成31年1月7日(月)に(一社)日本自動車工業会等4団体共催による新春賀詞交歓会を、また1月11日(金)には(一社)日本自動車機械工具協会との2団体共催により賀詞交歓会(参加規模は、約240名)を開催しました。

 

(2) 永年勤続優良従業員表彰

平成30年5月29日(月)の通常総会開催時に会員各社の永年勤続優良従業員6名の表彰を行いました。

 

(3) 二団体執行部懇談会

平成31年2月13日(水)、(一社)日本自動車機械工具協会との間で執行部懇談会を開催しました。

場 所:(一財)産業人材研修センター

参 加:19名

 

8.会議の開催状況

(1)通常総会

平成30年5月29日 15:00~

(2)理事会

第1回 平成30年4月26日15:00~

第2回 平成30年5月29日14:30~

臨時  平成30年5月29日16:15~

第3回 平成30年7月30日13:30~

  • 監事監査

H29決算 平成30年4月23日

H30中間 平成30年12月10日

 

(4)委員会、分科会の開催数

  • 総務委員会 3回

ニュース便覧編集会議 10回

  • 国際委員会 2回
  • 技術委員会 2回

(分科会等)

故障診断分科会  10回

門型洗車機分科会  1回

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